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2008年11月24日 (月)

世界史英雄列伝その6「ナディル・シャーと悪魔の宝石」

◇ナディル・シャー 1688~1747(在位1736~1747)
1688年 サファビー朝イラン治下ホラサンにトルコ系アフシャール族として生まれる。
1722年 サファービー朝が、アフガン族の侵入により滅亡。
1722年 アフシャール族の指導者になり、サファビー朝の王子タハマースプ2世を奉じ救国戦争を始め     る。
1729年 サファビー朝の首都イスファハン回復。
1730年 アフガン族をイランから叩き出し国内を統一。
1731年 不和になったタハマースプ2世を廃位。幼帝を担ぎ出し摂政に就任。
1733年 サファビー朝滅亡の隙に侵入してきたオスマントルコからバクダートを回復。
1735年 再びオスマントルコを攻めてグルジア・アルメニアを奪回。
1736年 幼帝死去にともなって、自らが即位、アフシャール朝を開く。
1737年~1739年 アフガン・インド戦役
1739年 インド侵入、ムガール朝軍を破って首都デリー占領。
1747年 故郷ホラサンの反乱を鎮圧中に暗殺。

 最後のアジア的専制君主と言われるナディルシャーです。これ以後は、個人というより国家が前面に押し出されてきます。自ら軍隊を率い、他国に攻め込んでいく、という型の英雄は彼が最後でしょう。

 戦争の名人だったと伝えられています。亡国の王子を助け、侵略者に戦いを挑んでいく祖国回復戦争の間は、すばらしい英雄でした。しかし、自分が帝位につき、インド侵入(もともとは侵略者アフガン族にたいする復讐戦が発端でした。)したあとは、残虐な弾圧者に変わります。そしてトルコ系とペルシャ系の民族対立、シーア派とスンニ派の宗教対立の中で必死に融和を図りますが、その中でおこった故郷ホラサンの反乱を鎮圧中に暗殺されます。

 1739年ナディルシャーは、インドに侵入、デリー入城をはたします。最初は穏健な態度をしめしていましたが、デリー市民が暴動をおこし自分が狙撃された事に激怒、10万もの犠牲者をだした大虐殺をおこないます。その略奪の量もすさまじく、3年間ペルシャの農民が税を免除されたほどでした。

 このとき、ナディル・シャーはムガール皇帝から有名な2つの財宝を奪います。一つは26万もの宝石をちりばめた「孔雀の王座」そして800カラットという世界最大のダイアモンド「コイヌール」です。

 コイヌールとはペルシャ語で「光の山」という意味で、ナディル・シャーが初めて宝石を見て発した言葉が名前の由来です。
 コイヌールは呪われたダイアとしても有名です。「それを所有するものは世界を支配する。しかしそれを長く身にまとうことはできない。」と言われています。
 ナディル・シャーがおかしくなったのはダイアを手にしてからでした。そして圧政のすえ暗殺されます。

 ダイアを受け継いだのは、息子のシャー・ルク。廷臣のアガ・ムハンマドが反乱を起こし捕らえられ宝石のありかを吐かせるべく拷問をうけます。両手を切り落とされてもシャー・ルクは宝石のありかを吐きませんでした。ついにアガ・ムハンマドはシャー・ルクの両目を潰します。そして何とか生き延びたルクは、ナディル・シャーの側近で自立してアフガニスタンの王となっていたアフマド・カーン・アブダリに救出され、その礼にコイヌールを送ります。

 呪いのダイアはここでも災厄をまきおこします。父王の死後王位を争ったザマン・シャーと弟シャー・スジャ。弟は兄のコイヌールを奪うべくまたしても、兄の両目を潰して王位と宝石を奪い取ります。

 しかしシャー・スジャの栄光も長くは続きませんでした。反乱によって故国を追われ、逃亡先のインドのマハラジャに奪い取られてしまいます。
 コイヌールは最終的に、インドを植民地化したイギリス王室のものになります。幾人もの所有者の命を奪ってきたコイヌールでしたが、ビクトリア女王には祟りませんでした。女性には呪いが通じなかったのでしょう。その後何度か戴冠式用の王妃の冠につけられましたが、何も起こりませんでした。ただ現在のエリザベス女王は、コイヌールの呪いをおそれてか、身に着けていません。イギリス王室の奥深く、コイヌールは眠り続けたままです。

 さて、近年になってからアフガニスタンのタリバン政権が、イギリスにコイヌールの返還要求したそうです。インド政府も要求しているとか。はたして、コイヌールの正当な所有者は誰なのでしょうか?でも、所有しないほうが身のためだと思います。イギリス政府も返すのだったら、自分の嫌いな政府にあげるでしょう。政権が転覆するかもしれませんから。
 さわらぬ神に祟りなし、宝石は遠くから眺めているに限ります。
 

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