世界史英雄列伝その2「サラーフ・アッディーン」
◇サラーフ・アッディーン(ユースフ・イブン・アイユーブ)
1138年~1193年(在位1171年~1193年)
1138年 現イラクのティクリートに生まれる。出自はクルド人。
1146年 ダマスクスに移住。シリア、ザンギー朝につかえる。
1164年 ザンギー朝2代スルタン、ヌール・ウッディーンの命で叔父シーク・ルーフと共にエジプト遠征
1169年 シーク・ルーフ死後、エジプト、ファーティマ朝宰相に就任、エジプト全土を掌握。
ファーティマ朝を滅ぼしてアイユーブ朝を創始。
1174年 ヌール・ウッディーン死去にともないシリアに進出、ダマスクス入城。
1187年 7月「ハッティンの戦い」で十字軍を破る。
10月聖地エルサレム奪還。
1189年 第3回十字軍イングランド王リチャード1世らと戦う。
1192年 十字軍と休戦条約。
1193年 ダマスクスにて病没。
ついに、私の尊敬するサラーフ・アッディーンについて書くことができます。
本名はユースフ・イブン・アイユーブ。サラーフ・アッディーンは信仰の公正という意味とか。西洋ではサラディンの名で知られるこの人物は「公正」「博愛」「寛容」という言葉で表されるとおり世界史上稀有の英雄でした。
その人柄を表すエピソードには事欠きません。いくつか例をあげると、
①ファーティマ朝を滅ぼすとき、カリフの一族の命を助けた。
②エルサレム奪還後キリスト教徒の命を身代金を払うだけで助けた。しかも身代金を払えないような貧乏 な人のために自分が肩代わりした。ライバルの獅子心王リチャード1世はエルサレムを占領すると住民を虐殺したのに対してまったく対照的な行動です。
③主家であるザンギー朝ヌール・ウッディーンには臣下の態度を崩さず、その死後11歳で即位したアル・ サーリフにもむごい仕打ちをせず、死去を待って平和的に併合した。
④捕虜に対しても、虐待せず公正に扱った。
など、尊敬に値する人物です。人物像を知りたければ、「ロードオブザリング」でスターになった、オーランド・ブルーム主演の「キングダムオブへブン」という映画をぜひ観てください!西洋映画では珍しく敵側のサラーフ・アッディーンを公正にえがいています。私は、彼が出てくると期待して映画を観ましたが、まったく裏切られず満足できました。おススメです。
本なら、シリアの作家(名前は忘れました)が書いた「アラブが見た十字軍」も面白いですよ!
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突然お邪魔します。
私もサラディンにたまらなく魅了されていたので、つい嬉しくてコメント失礼します。
(今日見つけて即お気に入りに入れました♪)
鳳山さんの歴史の知識の広さには感心させられます。
年表も分かりやすいし、紹介文もまとまっていて読みやすい!
私のような知識のない人間でも楽しめます!
初めてなのに長々と失礼いたしました。
これからも応援しています!
投稿: | 2008年12月16日 (火) 17時28分
コメントの返事遅くなって申し訳ございません。
いまいちココログのシステムが理解できず、しばらく放置してました(爆)。
過分なお褒めを頂き恐悦至極でございます。これからもよろしくお願いします。
投稿: 鳳山 | 2008年12月23日 (火) 00時23分