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2009年3月 9日 (月)

世界史英雄列伝(27) 西楚の覇王『項羽』

◇西楚の覇王『項羽』BC232年~BC202年

 司馬遼太郎の名著「項羽と劉邦」は秦末にあらわれた、まったく対照的な二人の英雄の生涯を描いた傑作です。その一人である項羽、私は彼の波乱に満ちた生涯に深く惹かれます。

 項羽、名は籍。羽は字ですが、通りがよいので項羽で通します。項羽は秦軍を一度は破った名将項燕の孫で、楚の滅亡後は叔父の項梁と共に会稽郡に隠れ住んでいました。項梁は土地の顔役として葬儀を仕切り人心を集めます。同時に人材も集めていました。

 秦末、陳勝・呉広の乱が起こると項梁と共に江東の地で挙兵、八千の兵を率い長江を渡ります。陳勝が敗死すると項梁は楚の王族の子孫を見つけてきて懐王に祭り上げました。これで反秦勢力を纏め上げる事に成功、このとき劉邦も参加してきます。
 秦は名将章邯を起用、反乱鎮圧にのりだしました。そんななか項梁が秦軍に包囲されて戦死します。項羽は内紛の末、宋義らを殺害し実権を握りました。まず項羽は7万の兵を率いて北上し、秦軍に包囲されていた趙の救援に向かいます。黄河を渡ると船を焼き捨て、不退転の決意で秦軍に攻めかかりました。項羽の武勇と、剽悍な楚兵の勢いは秦軍を圧倒、20万の秦軍が降伏しました。これに恐れをなした反秦の諸侯は項羽の幕下に跪きます。
 一方、懐王は秦に一番乗りした者を秦王にすると約束していました。劉邦は裏口の武関から関中に入り秦を下していました。項羽が函谷関まで達すると、関は劉邦によって閉ざされていました。怒り狂った項羽は力でぶち破ると、劉邦はあわてて項羽の軍門に降ります。これが有名な鴻門の会です。

 項羽は劉邦を辺境の蜀の地に封じ漢中王にすると、降伏していた秦王子嬰を殺し、咸陽を焼き払いました。略奪の限りをつくし、これによって秦の人心は項羽から離れました。また、降伏してきた秦軍20万を邪魔だからという理由でことごとく穴埋めで殺していましたから、恨みは深く残りました。

 項羽の軍師、范増はこの地を都にすることを進言しますが、「故郷に錦を飾りたい」という子供のような理由で項羽は拒否します。後々の事を考えると、この決断が滅亡の遠因でした。
 項羽が東に帰ると、劉邦はさっそく関中にでてきて秦の旧領を平定します。項羽の不公平な論功行賞で不満を持っていた諸侯を糾合、巨大な勢力になりました。
 
 項羽は目の上の瘤であった懐王を暗殺、彭城(現在の徐州)に都して西楚の覇王と唱えていました。斉の田栄の反乱を鎮圧するため都を留守にしていたとき、劉邦率いる50万もの大軍が彭城を占領します。しかし寄せ集めの軍隊の悲しさ、軍規は緩みきっていました。
 このときも項羽の武勇は発揮されます。急報を受けた項羽は手勢3万を率いると取って返し劉邦軍を痛破しました。劉邦は命からがら逃げだしました。

 劉邦が何度も項羽に敗れながら滅亡しなかったのは、留守を守る蕭何が補給を絶やさないからでした。
項羽は榮陽一帯に劉邦を追い込み広武山で両雄は対峙します。にらみ合いの続く中、劉邦の工作が秘かに続けられていました。謀臣陳平の離間の策にはまって、項羽軍の軍師范増が去ります。また劉邦軍の将、韓信の活躍によって黄河以北の地は統一されつつありました。

 長期の戦いで疲弊した両者は和睦します。東へ去った項羽軍にたいして劉邦軍の軍師張良は、背後を衝くことを進言しました。項羽に勝つチャンスはこの時しかないと悟った劉邦は約束を破って追撃します。あれほど武勇を誇った項羽でしたが、このときばかりはその神通力も通じませんでした。
 垓下に包囲され、攻囲軍からは懐かしの楚の歌が聞こえてくるではないですか。
 「嗚呼、すでに故郷楚の地は劉邦軍に占領されたのだな」項羽は嘆きます。しかしこれは張良の謀略でした。(四面楚歌)

 あきらめた項羽は、有名な『拔山蓋世』の詩を詠い愛妾虞美人を自らの手に掛けました。手勢八百騎を率い最後の突撃を敢行します。このときも鬼神のような働きで烏江(うこう)の畔までたどり着きました。烏江の渡し守は、江東に帰って再起を図ることを勧めますが項羽は断ります。
 追手に旧知の呂馬童がいることを見つけると「そなたに手柄をやろう」と、自ら首を刎ねました。享年三十一歳。

 世界史上でも不世出の英雄、項羽はここで波乱の生涯を閉じました。

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