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2010年4月 7日 (水)

平家物語で一番の美女

 国民的作家、吉川英治の最高傑作といってもいい「新平家物語」。文庫本で16巻という長い物語で、常盤御前や静御前など数多くの美女が登場します。そのなかで私は、容姿といい生き方といい一番の美女だと思うのは、袈裟御前です。あまり詳しくは覚えてないんですが、概略を紹介すると

「北面に詰める若殿ばらの中で、最近、源亘が美しい新妻を娶り、見事な駿馬を手に入れたという。平清盛や遠藤盛遠らが見せろ見せろとあまりにせっつくものだから、源亘もついに折れて自宅に彼らを招待した。
 宴たけなわになってもいつまでも現れないことに若者たちはいらだつ。ふと庭に目をやると月光の下に見事な駿馬があらわれた。しかし彼らは馬よりも、それを引いてきた人物に釘付けになる。下働きの下女の恰好ででてきた女性の、この世のものとも思われない美しさに呆然としたのだった。
 月光に照らされてたたずみ微笑むその女性こそ、源亘の新妻、袈裟であった。

 呆然と見守る若者達の中で、ひとり複雑な表情を浮かべたものがいた。遠藤武者盛遠である。彼女とは遠縁にあたり、袈裟とは幼なじみ。自分こそ袈裟を妻にするものと心に決めていたのだった。しかし、袈裟は乱暴な盛遠を嫌っていた。

 盛遠は、どうしても諦める事ができず何度も通っては亘と別れて自分と結婚して欲しいと袈裟にせまる。ついに意を決した袈裟は
「承知しました。あなたがそこまで仰るのなら今夜寝静まったころに屋敷に忍んでください。夫が寝所で寝ていますから殺してください。それができたら貴方の妻になりましょう」と言う。

 深夜、盛遠が侵入すると戸は鍵もかけられていなかった。これも袈裟の配慮だとおもい寝所で寝ていた人物を一思いに刺し殺し、首を取った盛遠は、無我夢中で駆け出す。そして月光の下で首を確認すると、絶叫した。

 盛遠が刺し殺した人物こそ、袈裟その人だったのである。袈裟は盛遠が諦めないだろうと覚悟し、自分が殺される事で解決しようと心定めていた。清冽な婦道であった。

 盛遠は絶望のあまり袈裟の首を抱いたまま熊野の山中に入る。一度は死を覚悟した盛遠であったが生死を彷徨うような厳しい修行を潜り抜け、後に文覚として世に出ることとなる。

 一方、源亘も世の無常をはかなみ出家したという。」

 どうですか?幻想的な美しさと貞節さ、常盤や静も美女ではありますがここまでの覚悟はないでしょう。退廃した平安末期に袈裟が示した生き方は、当時の人々にも衝撃を与えたと思います。

 退廃した貴族に代わって、武門の家に生まれ厳しい教育をうけた袈裟が象徴するように武士の時代がやってくる事の予兆でもありました。

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