世界史英雄列伝(40) 『明の太祖 朱元璋』 善悪を超越した巨人 ‐ 序章 ‐
明の太祖 朱元璋(1328年~1398年)を描いた肖像画には異なる二種類のものが残されています。その一枚は温厚な表情の朱元璋、もう一枚は醜い顔をしたもの。
これには有名なエピソードがあります。
元朝を滅ぼし明朝を建国した朱元璋。彼はある時偉大な足跡を示した自分を後世に残すため絵師たちに肖像画を描くよう命じます。
しかしどの絵師も後者のような肖像画を描いてくるため朱元璋は激怒し、次々と処刑しました。そこである絵師は、輪郭だけ実物と似せあとは柔和な表情になるよう描き変えて提出したところ、はじめて満足したそうです。
これだけ聞くとどれほど暴君なのかと呆れるでしょうし、これほど醜悪な人間がよく天下を統一できたと驚きもするでしょう。しかも天下を統一した後粛清した功臣の数は漢の高祖劉邦も遠く及ばないとされますから尚更です。
しかしマイナス面だけでなく良い面もあったからこそ人は付いてきたのだと思います。これから4回に分けて描く世界史英雄列伝第40回「明の太祖 朱元璋」では彼の人間性まで伝えられたらと思っています。
予定では
①元末の情勢と紅巾の乱
②紅軍との決別
③鄱陽湖の決戦
④明の太祖
となります。
中国史において貧しい農民階級から天下を取ったのはたったの二人。一人は漢の高祖劉邦、そしてもう一人が明の太祖朱元璋です。
農民とはいいながら劉邦の出身は中農で日々の暮らしに困ることはなかったと伝えられますが、朱元璋は一家離散まで経験した壮絶な過去をもっています。しかしその逆境がバネとなり後に天下を取る事が出来たのだから人生は分かりませんね。
以前不思議書庫でちょっと触れた朱元璋ですが、今回ようやく英雄列伝で描くことができます。
ところで最初の肖像画のエピソードですが、実物に似ているといわれる醜い肖像画が残っているところに朱元璋の食えなさがあると思いませんか?案外肖像画のエピソードは朱元璋自身が広めたものだったのかもしれません。
善悪を超越した巨人朱元璋の生涯にどこまで迫れるか分かりませんが、精一杯描ききろうと思いますので皆様よろしくお願いいたします(拝)。
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