投擲器(アトラトル)から弓へ
だいぶ前の話です。何とはなしにNHKスペシャル「ヒューマン
なぜ人間になれたのか」を見ていたんですが、人類がアトラトルという投擲器を発明したためにネアンデルタール人との生存競争に勝ち生き残る事ができたと紹介していました。
恥ずかしながら、私はこの投擲器(アトラトルというらしい)を知らなかったのでネットで調べてみました。
原理は簡単。上図の突起(あるいは窪み)の部分に槍の底(石突のところ)を引っ掛けて梃子の原理で投げる道具です。熟練者が投げると100mくらい飛んだらしいですから凄いです。修業を積めば百発百中になったでしょうが、一見便利そうな道具が何故廃れたのでしょうか?
私は発射速度と馬上での扱いにくさだと思います。一々槍を引っ掛けて投げるより弓の方が速射性が高いんですね。飛翔速度もアトラトルと弓矢では比べ物になりません。もちろん槍のほうが重量があるので当たれば威力は高いでしょうが、弓は軽い矢でも長射程と速射性ではるかに有利に戦えます。しかも馬上からも撃てるという汎用性でアトラトルを駆逐したのでしょう。
ウィキによると『漢民族は東方異民族を「夷」と呼んだが、この字は「大」と「弓」の組み合わせで、「長弓を使う者」の意味である。ひざまずく人を示す象形文字から生じた漢字であるという説』もあるそうですから遊牧民と弓矢は切っても切れない関係でした。
短弓でも曲射弾道なら2~300mは軽く飛びそうですからね。弓が複合弓や弩などにどんどん発展していった事も納得できます。
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