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2019年3月 2日 (土)

ベトナム航空戦Ⅰ    近代電子戦の萌芽

 ベトナム戦争は現代までつながる電子戦の萌芽であり最初の大規模戦闘だったと思います。レーダーを使用した空対空ミサイル戦闘もそうだし、レーダーを中心にSAM(地対空ミサイル)対空機関砲を組み合わせたソ連式防空コンプレックスを巡る攻防もそうだったと考えています。
 
 
 最初に言葉の定義から。電子戦とはウィキによると「電磁波にまつわる軍事活動」だとされます。ここでレーダーは電波だから電磁波と違うと思われる方も多いでしょうが、電波とは30Hz から 3THz の電磁波を意味し超低周波・超長波・長波・中波・短波・超短波・マイクロ波と細分化されますから電磁波で間違いありません(笑)。
 
 
 ベトナム戦争といえば赤外線ホーミングのサイドワインダー(AIM‐9)が本格的に投入された戦争でした。サイドワインダー自体は1958年の中台紛争で台湾空軍がアメリカから供与されたサイドワインダーをF-86セイバーに積んで戦闘したのが使用された最初ですが、人民解放軍は不発だったサイドワインダーを回収しソ連に送ります。
 
 ソ連は、これをもとにR-3(NATOコード AA-2アトール)ミサイルを開発しました。全くのデッドコピーですが、これがソ連のミサイル技術発展を促したのですから歴史の皮肉です。
 
 
 
 戦争当初まともな空軍を持たなかった北ベトナムに対し、米軍は空爆を繰り返し我が世の春を謳歌していました。しかし北ベトナムはソ連式のレーダーとSAM各種対空砲を組み合わせた防空コンプレックスで対抗します。
 
 とくにレーダー統制式の対空機関砲の有効射程内である高度1500mまでは被害が続出しました。低空飛行の方が爆撃精度は上がるのですがあまりにも北ベトナム軍を舐めすぎていたと言えるでしょう。
 
 
 中高度以上を飛行して空爆しにきた米軍にたいし、北ベトナム軍はついにソ連から供与されたMiG‐15、MiG-17戦闘機を投入します。これらは米軍機に対し10年以上も前に開発された旧式ですが、要撃戦闘に特化した機体だけに重い爆弾を積んでよたよたと飛行する米軍機にとっては脅威となりました。
 
 
 おかげでマッハ2級の新鋭戦闘機であるF-105サンダーチーフが、マッハ1級のF-100スーパーセイバー戦闘機に護衛されるという屈辱に甘んじなければなりませんでした。
 
 
 もちろん爆弾を投棄すればサンダーチーフの方が有利に戦えましたが、北ベトナム軍としては空爆をさせなければ作戦目的は達せられたのでこれで良かったのです。MiGは米軍が爆弾を投棄するのを確認するとさっさと逃げ出したそうです。
 
 
 戦争が続くにつれ北ベトナム軍の防空体制はより巧妙になってきます。ダミーの防空陣地を設け米軍機が上空を避けるように仕向けダミー陣地がない空路に欺瞞された本当の防空陣地を構築していました。これには米軍もかなり被害を出します。
 
 
 業を煮やしたアメリカは、防空陣地攻撃専用機F-105F/Gワイルド・ウィーゼル機を投入しました。ワイルド・ウィーゼルとは「地対空ミサイルの発見及び制圧を専門とする航空機の初めての開発計画であった【ワイルド・ウィーゼル計画】に由来」する機体です。
 
 F-105ワイルド・ウィーゼルはAGM-45シュライク対レーダーミサイルを搭載していました。これは敵のレーダー照射を感知してホーミングするミサイルです。おかげで北ベトナム側はワイルド・ウィーゼルを確認するとレーダー照射をやめました。
 
 
 米軍としては、対空陣地は破壊できなくてもSA-2対空ミサイルを一定時間発射させなければ良かったのです。その間安全に空爆できるようになりますから。
 
 
 
 ところが北ベトナム軍もさる者で、空爆にくるF-105とワイルド・ウィーゼルのF-105の空中給油の高度が違うのを発見し見分けるようになりました。すると米軍はわざとワールド・ウィーゼル機を通常機の高度で空中給油させ北側を騙す作戦に切り替えます。このあたりキツネとタヌキの化かし合いで面白いですね。
 
 
 
 そんな中、1965年後半北ベトナム軍はついにソ連製の新鋭機MiG-21フィッシュベットを投入し始めました。この格闘戦に特化した戦闘機に対し、米軍で対抗できるのは爆弾を搭載しないサンダーチーフと新鋭のF-4ファントムⅡだけでした。
 
 
 とくにファントムは、セミアクテイブ・レーダーホーミングのAIM-7スパローAAM(空対空ミサイル)で近距離攻撃能力しか持たないMiG-21を圧倒します。セミアクテイブ・レーダーホーミングというのはレーダーを命中するまで敵機に照射し続けなければなりませんが当時としては画期的なミサイルでした。敵の射程外から攻撃できるからです。
 
 
 北ベトナム軍はこれに対し、防空レーダー管制を駆使しMiG‐21を敵編隊の後方から急上昇させ一撃離脱で襲いかかる戦術を取り始めました。こうなるとファントムは予期しない格闘戦に巻き込まれるため苦戦します。特にミサイル発射母機と割り切り自前の機関砲を搭載していなかったファントムは不利でした。
 
 米軍は、これ以後ファントムにM-61A1 20㎜バルカン砲ポッドを胴体下に搭載するようにしました。
 
 
 
 最終的に米軍戦闘機のキルレシオは5:1(自機が1機やられる間に敵を5機撃墜する)に落ち着きます。この数字を高いと見るのか低いと見るのか?
 
 私は貧弱な空軍戦力しか持たない北ベトナム軍はよく頑張ったと評価しています。同じような武器を装備していた中東戦争のアラブ諸国に比べると凄いのではないでしょうか?
 
 
 アメリカとイスラエルでは戦力的に段違いですし、アラブ諸国のキルレシオはたしか二桁じゃなかったですかね?むろん悪い数字の方がアラブ諸国ですが…。
 
 
 その意味ではベトナム人というのは戦争に強い民族なのかもしれませんね。支那はあまり侮らないほうがいいですよ。実際中越紛争でも痛い目に遭ってるわけだし…。

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