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2019年3月 2日 (土)

モーターカノンの話

Motakanon

 モーターカノン、直訳するとエンジン砲。日本ではあまりなじみありませんがエンジンのプロペラシャフトを中空構造にしてそこを通して発射する機関砲(銃)の事です。
 
 レシプロ機の時代、主武装は7.62㎜~20㎜位までの機関銃、機関砲でした。なかには30㎜、37㎜機関砲搭載機もありましたが…。
 
 機関砲の命中率を上げるには、主翼よりは機体、機首上方よりはエンジン同軸が理想的なのは誰にも分かっていました。
 
 空力的にも重い物(機関砲は弾倉まで含めると意外と重量を食う)を主翼に装備すると、戦闘機の肝ともいえるロール率(横回転)に悪影響を受けるのです。
 
 
 同軸火器の先進国はフランスでしたが、ドイツもモーターカノンを熱心に取り組んだ国の一つでした。ドイツ空軍が主力戦闘機Bf109にダイムラーベンツDB601液冷倒立V型12気筒エンジンを採用したのもモーターカノンを装備するためでした。
 
 
 たださしものドイツもBf109の同軸機銃装備にはトラブルが続出して難航し、モーターカノンを標準装備できたのはF型以降でした。
 
 
 ところで米英の主力戦闘機ノースアメリカンP51マスタングやスーパーマリンスピットファイアはモーターカノンを採用していませんよね?
 
 冷静に考えると理解できると思いますが、確かに命中率は良くなるとしてもただでさえ狭いエンジン回りに重い機関砲を搭載すると、燃料タンクなど本来搭載しなければならない装備の搭載スペースがなくなってしまうんです。という事はエンジンそのものの発展性も阻害し、新しく大馬力エンジンを搭載する時も機体設計を大幅にいじらないといけなくなります。
 
 英米は、モーターカノンの利点・欠点を冷静に分析しこれを採用するよりは主翼の機関砲の数を増やす事で事足りると判断しました。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる方式です。またモーターカノンの大火力は防御力の高い4発重爆に対抗するためでもありましたが、敵である日独伊にまともな4発重爆が無かったことも理由の一つでした。
 
 
 一方、B17・B24などの猛威に苦しめられていたドイツでは30㎜モーターカノンまで登場します。
 
 
 実は日本の三式戦闘機飛燕もDB601のライセンス生産品であるハ四〇を搭載していたのでモーターカノンを装備できなくはありませんでしたが(実は日本も搭載を模索していた)、それ以前に過給機の問題で高高度性能に難があったため実現はしませんでした。マウザーMG151のようなモーターカノンに最適の20㎜機関砲もなかったですしね(苦笑)。エリコンの20㎜は構造上シリンダーの間に銃身が入らなかったりエンジン振動の影響を受けやすくてドイツでもトラブル続出だったらしい…。
 
 今思い出したんですが、マウザー砲(MG151)は潜水艦で800挺輸入され飛燕一型丙に搭載されましたな。まあ同等の機関砲を生産できないって時点でアウトですが。海軍も輸入してたかな?こっちは九九式20mm二号機銃四型がカタログデータ上はMG151と同等という事で採用はされなかったんだっけ?って話はどんどん脱線していきますな(爆)。
 
 
 まあモーターカノン凄い!って記事ではなく「こんなのもありましたよ~」程度の与太話として聞いて頂ければありがたいです(笑)。

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