近代戦の補給
この話に付いてこれる方は少ないかもしれませんが、某サイトから転記した1980年代のソ連軍、米軍の各師団の一日補給所要量です。
おそらく現在でもそうは変わらないはず。上段は戦闘時における補給量です。下段は米軍歩兵師団しか見つからなかったんですが攻勢、防御、追撃、戦闘準備の各段階での一日補給所要量です。
表を見ると米軍歩兵師団で攻撃戦闘時3300t、防御戦闘時4000tという莫大な物資を消費します。イメージだと機甲師団の方が物資を消費しそうですが現代の米歩兵師団は名前だけが歩兵師団であって実質は機甲旅団+機械化歩兵旅団×3+ヘリ強襲旅団という怖ろしい戦力の旅団戦闘団を持っていますのでこちらの方が物資消費量が多いのでしょう。機甲師団との違いは戦車がちょっと少ない分、歩兵戦闘車(+歩兵)が多いだけ。
1万t級の輸送艦で1個師団2~3日分しか補給できないんですから現代の軍隊はもの凄い金食い虫ですね。さすがの超大国アメリカといえど10個師団前後しか現役師団を保有できないはずですよ。
ソ連軍も米軍ほどではないにしても物資消費量が半端ないですね。だいたい米軍師団が21000人前後、ソ連軍師団が16000人前後なので一人当たりに換算すると余り変わりません。
これはアフガン戦争でソ連が崩壊するはずですよ。一方アメリカは常時50万の大軍をベトナムに貼り付けておきながら良く保ちましたね。海上輸送の方が効率良いとはいえ、やはり恐るべき国力です。
湾岸戦争時、何もない砂漠に一大補給基地を出現させた(しかも短期間で!)アメリカの怖ろしさを改めて実感しました。
アメリカほど補給に力を入れる国はありません。専門の輸送コマンド(U.S.Transportation Command)をもち多数の輸送機と多数の輸送艦、輸送船、陸上輸送システムも持っていて、世界中で米軍の作戦を可能にしています。
M1A2エイブラムス戦車1000台も積める6万トン級の大型輸送艦さえ持っているんですから感心させられます。
正面装備だけでなく、後方兵站まで含めた力が米軍の強さの源泉なんでしょうね。日本がこのレベルまで達するには防衛費を今の10倍くらいにしないといけません(苦笑)。
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