日本陸軍自動車化輜重兵連隊の理想と現実
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日本陸軍最大の弱点は兵站(総合的補給)能力の低さだと言われます。もちろん国力の限界はあったでしょうし、日本社会全体のモータリゼーション(自動車化)が進んでいない中で陸軍だけが突出できるはずもありません。大東亜戦争を通じて日本陸軍の兵站は輓馬に頼っていました。ただ、一部自動車化が進んだ師団(近衛第2師団、歩兵第5師団、歩兵第48師団など)ではさすがに兵站を輓馬に頼るわけにはいきません。兵站を担う主役である輜重兵も自動車化せざるを得ませんでした。
陸軍としては、自動車化師団の兵站を維持するため、輜重兵連隊は6個自動車中隊を想定していました。おそらく九四式六輪自動貨車とその後継の輸送トラックを想定しているのでしょうが、1個中隊38台で連隊全体では38×6で228台。積載量2トンとして456トンの運搬能力があります。通常日本の歩兵師団は1日の物資消費量が200トンから300トンと言われます。自動車化師団はもっと多くなるでしょうからぎりぎり何とかなる運搬料です。ちなみに完全自動車化が進んでいたアメリカ陸軍歩兵師団の場合1日の最低物資消費量は500トン。多い場合(攻勢準備など)は1000トンを超えました。
しかし日本の現実は厳しく、多くの自動車化輜重兵連隊は3個自動車中隊と理想の半分の規模でした。これだとわずか230トン弱の運搬量で輓馬編制の歩兵師団しか維持できません。当時の日本陸軍は厳しい台所事情の中戦っていたんですね。頭が下がります。
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