アーサー王終焉の地アヴァロンはグランストンベリーか?
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アーサー王は5世紀末から6世紀初頭ブリトン人(ケルト人)を率いて侵略者アングル人、サクソン人、ジュート人などのゲルマン系諸族と戦ったとされ一応実在したと言われます。
アーサー王の出自には様々な説があります。ブリトン人の王子説、アルトリウスという西ローマ帝国軍の指揮官で、帝国滅亡後自立しブリテンで王となったという説、西ローマ帝国の傭兵でブリテン島に土着したイラン系遊牧民の首長説など。アーサー王物語にも様々なバリエーションがあるのですが、ここでは私が理解している一番ドラマチックなものを紹介しましょう。
『ブリトン人の王ユーサー・ペンドラゴンの王子として生まれたアーサー。ペンドラゴン王は悪人どもの陰謀で暗殺され生まれたての王子アーサーは忠臣に守られ城を脱出、民間で育てられます。成長したアーサーは「この剣を抜く者はブリテンの王となるだろう」と書かれていた岩に刺さった剣を引き抜き見事王となりました。
魔法使いマーリンの助けを得たアーサーは、湖の乙女に与えられた神剣エクスカリバーを手に入れ12人の円卓の騎士とともにブリテン島の統一戦争に乗り出します。ただアーサーの留守中本拠キャメロット城で妻ギネヴィアは、円卓の騎士の一人でキャメロットの留守を守っていたランスロットと道ならぬ恋に陥りました。アーサー王の従兄弟でもある湖の騎士ランスロットとの間に不義の子モルドレッドを生んだギネヴィア。
いつしか不倫は発覚、ランスロットは追放されアーサーとの間に戦争となりました。悪妻ギネヴィアはアーサー王の怒りを買い火刑に処せられる瞬間ランスロットにより救出されました。ただアーサーはモルドレッドが実子だと信じていたようで、彼をキャメロット城に残しフランスに逃げたランスロット一味と戦争するため軍を率い渡仏します。長引くフランス遠征。成長したモルドレッドは自分がアーサー王の実子ではなく母と謀反人ランスロットとの間の不義の子だという事実を知りました。
衝撃を受けたモルドレッドですが、結局アーサー王に背く道を選びます。モルドレッド謀反の報告を受けたアーサー王は、急ぎブリテン島に戻りモルドレッドと最終決戦カムランの戦いが起こりました。激戦の末モルドレッドとの一騎打ちに勝利し槍で討ち取るも、アーサー王自身も深手を負います。
死期を悟ったアーサー王は、湖の乙女に神剣エクスカリバーを返し常春の島アヴァロンに渡りました。その後アーサー王はアヴァロンの地で亡くなったともアヴァロンで生き続け今でもブリテン島の人々を見守り国家が危機に陥った時には再び立ち上がるだろうとも言われます。』
これがアーサー王伝説ですが、モルドレッドの出自についても様々説がありバリエーションも豊富でこれがメインストーリーだとは言えません。時代が下って12世紀末。イングランド南西部サマセット地方グランストンベリーの丘頂上でグランストンベリー修道院長がアーサー王とギネヴィア王妃(伝説と矛盾しますが…)の棺を偶然発見、改めて修道院に埋葬しました。
サマセット地方は沼沢が多く、アーサー王の棺が見つかったグランストンベリー・トアという標高145mの丘は、当時湿地に浮かぶ島のようになっていたと言われます。伝説の常春の島アヴァロンはグランストンベリー・トアではないかという説が有力になりました。ただ異説もありはっきりしません。
私の個人的考察ですが、アーサー王伝説はともかくアーサー王に仮託される当時のブリテンの王がこの地に埋葬されたのではないかと考えます。ですから王が不義を犯した妻ギネヴィアと一緒に埋葬されたとしてもおかしくないし、そもそもギネヴィアは不倫などしていなかったという事になります。12人の円卓の騎士自体があくまで伝説ですからね。
最近ではアーサー王=ローマ帝国の指揮官アルトリウス説が有力だそうですが、ブリトン人の土着の王とした方が今のイングランドの人たちにも一番納得がいくと思います。ロマンが色々溢れる話ですが、皆さんはどのような感想を持たれましたか?
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