火薬の話
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現代の銃器には欠かせない火薬、その起源は唐王朝の時代だと言われます。当時の書籍に黒色火薬の原料である硝石、硫黄、炭を混ぜると燃焼・爆発が起こりやすいと書かれており黒色火薬は当時から知られていた可能性があります。
黒色火薬は硝石(硝酸カリウム)75%、硫黄10%、木炭15%を混合させて作られたもので、1132年の北宋と金の戦争時代、北宋軍が火槍と呼ばれる黒色火薬を使って槍を飛ばす兵器を使用したと記録にあり、これが実戦で使われた最初でしょう。13世紀後半の元寇でも元軍が『てつはう』と呼ばれる火薬で爆発する投擲兵器を使ったと言われ蒙古襲来絵詞にも描かれています。
ちなみに、今回ネットで調べていて分かったんですが黒色火薬の威力を増すには硝石の代わりに過塩素酸カリウムを使うと燃焼力、破壊力が増すそうです。ただ不安定な化学物質だけに取り扱いが難しく普及しませんでした。
シナ大陸で発明された火薬が西洋に伝わった時期ですが、どうも13世紀のモンゴルの中東侵攻がきっかけみたいです。タラス河畔の戦いで製紙法が西洋世界に伝わった経緯とそっくりですね。ただ、鉄砲を発明したのはシナではなく欧州でした。鉄の筒の一方を塞ぎ、空いた方から火薬と鉄の弾を詰めて火をつけると爆発的な威力で鉄の弾を発射できると発見したのは、フス戦争(1419年~1434年)のヤン・ジシュカ率いるボヘミア(現チェコ)の農民軍でした。
この初期の鉄砲は、弓と違い素人でも簡単な訓練で扱えるため猛威を振るいます。神聖ローマ帝国の騎士たちはボヘミア農民兵の鉄砲に攻めあぐね多くの犠牲を払いました。実戦でその威力を発揮した鉄砲は、瞬く間に欧州各国に広がり洗練されて行きます。
この頃登場したマスケット銃は、点火機構がマッチロック式でした。日本でいうところの火縄銃です。その後、17世紀にフリントロック式(燧石式)が発明されると、雨に弱いマッチロック式はすたれこちらが主流になりました。
黒色火薬は当時としては画期的な発明でしたが欠点もありました。爆発力が弱い事と発射した後火薬のカスが残る事です。火縄銃発射実演で、発射した後長い棒で銃身を掃除している姿を見た方も多いでしょう。
そこで発明されたのが無煙火薬です。ニトロセルロースを主成分とする無煙火薬は、黒色火薬に比べ燃焼時の発煙量が少なく、高い圧力で弾丸を発射することができました。1884年フランスで発明されます。発射後に銃身に火薬のカスがほとんど残らないのも特長で、これが無ければ機関銃の登場もありませんでした。黒色火薬だと一々銃身を掃除しなければならないので連続発射できないからです。
現代の銃器、大砲は無煙火薬を使っています。配合や材料によりいろいろな種類の無煙火薬がありますが、小火器は当分無煙火薬、大砲もレールガンが実用化され世界中に普及しない限り無煙火薬の天下が続くでしょう。
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