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カテゴリー「 軍事」の記事

2025年10月19日 (日)

CV90120軽戦車

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 CV90120軽戦車はスウェーデンのCV90(Strf90)歩兵戦闘車をベースにした軽戦車です。今まで戦車をベースにしたAPC(装甲兵員輸送車)やIFV(歩兵戦闘車)はありましたが、その逆に歩兵戦闘車にラインメタル社製の低反動120㎜滑腔砲を搭載したのは私の知る限り初かもしれません。もちろん私はそこまで陸上兵器に詳しいわけではないので他にも例があるかもしれません。

 それはともかく、ベースが歩兵戦闘車ですから防御力は全く期待できず、重量もわずか27.7トンしかありません。ただ、ベースになったCV90は正面装甲で30㎜APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)に耐えられる防御力はありますから、歩兵戦闘車としては防御力はある方だと思います。

 もともと105㎜ライフル砲を搭載した戦車駆逐車(CV90105ATV)はあったのですが、120㎜という西側主力戦車と同等の戦車砲を搭載した事で軽戦車と位置付けたのでしょう。2025年10月にプロトタイプが発表されたばかりですから、今後どう展開するかは分かりませんが、早くもスロバキアが関心を示し購入を検討しているほか、東欧、北欧の一部諸国でも導入の可能性が取り沙汰されているそうです。

 105㎜砲を積んだからCV90105、120㎜ならCV90120と安直なネーミングな気もしますが、分かりやすいのでこれで良いのでしょう。30トン未満の車体に120㎜砲搭載は無理だと思っていたんですが、CV90120が成功すれば今後は16式のような装輪戦闘車に120㎜砲搭載も夢ではなくなるかもしれません。ただ、現状は105㎜砲でも限界に近く、日本の16式が発射の反動で揺れることなく普通に機動できることに驚かれたくらいですから、装輪戦闘車への搭載は難しいのかもしれませんね。重さ的には16式も26トンなので増加装甲つければCv90120くらいの重さにはなると思うんですがね。

 実際に運用され、YOUTUBEで実弾射撃動画を見ない限り何とも言えませんが、低反動とはいえ120㎜砲の射撃は難しいような気もします。これが動いてるときに行進間射撃できたら驚きますよ。まあ、止まってからの射撃なんでしょうが。詳しい方がいたら教えてください。

 戦車同士のガチのぶつかり合いは不向きで待ち伏せ攻撃がメインになるでしょうから、停車射撃でも問題ないのでしょう。

 

 

追伸:

 イタリアのチェンタウロⅡも低反動45口径120㎜滑腔砲でした。時代は装輪戦闘車も120㎜に移行していくんでしょうかね。チェンタウロⅡの射撃動画を見たんですが、停車した状態で発射した瞬間大きく揺れていたのでいくら低反動砲でも120㎜滑腔砲はきついなという印象です。

2025年10月13日 (月)

四式自動小銃

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 なんでこんな記事を書いたかというと、夢に出てきたからです。私は実銃こそ撃ったことはありませんが、FPSゲーム(バトルフィールドバッドカンパニー2だったかな?)とかで撃った経験はありますし、YOUTUBEの軍事系動画でアメリカ人のガンマニアが実銃を撃っている姿を見ているので、それが潜在意識に刻まれて夢にも出てくるようになったのでしょう。

 さてこの四式自動小銃ですが、大東亜戦争末期の1944年に大日本帝国海軍が開発した半自動小銃です。陸軍ではなく海軍なのが意外でした。ちなみに自動小銃と半自動小銃の違いは、前者は連発(フルオート)できるのに対し後者は単発(セミオート)のみという事です。ただし自動なのでボルトアクションのように一発ずつボルトを引いて弾を装填することなく、連続して発射できます。

 これにより速射能力が飛躍的に向上するので、各国はこぞって半自動小銃を開発しました。その代表はアメリカのM1ガーランドです。超大国アメリカは、このM1ガーランドを625万挺も生産し、歩兵の主要装備にしました。ドイツもワルサ―Gew43などの半自動小銃を開発しますが、総生産数は42600挺で全歩兵装備を更新することはできませんでした。

 四式自動小銃は、太平洋戦線でも猛威を振るっていたM1ガーランドを再設計して配備することを計画して始まりました。悪い言葉でいうとデッドコピーです。ドイツのGew43はそれまで各社で開発されていた半自動小銃の集大成なのでまともに動作しましたが、日本の場合は始まりから不純なので初期不良が続発したそうです。

 とは言え完全なコピーではないので、M1ガーランドは上から8発の弾丸をクリップ(装弾子)で差し込む方式なのに対し、四式はこれが10発になっています。しかもM1ガーランド最大の欠点である全弾発射後にクリップが排出される時ピンという独特の高音が出ることは、四式では排出音がかなり改善されたそうです。

 弾丸は陸軍の九九式小銃と同じ7.7×58㎜弾。この手の半自動小銃は高価なので量産できず、わずか150挺前後しか生産されなかったみたいです。四式自動小銃は完全な無駄だったかというとそうでもなく、戦後豊和工業に流れた技術者が64式7.62㎜小銃開発の参考にしたそうです。

 戦後半自動小銃は廃れ、フルオート発射ができる自動小銃やアサルトライフルが主流になっていきました。ドイツも半自動小銃よりもアサルトライフルであるStG44の生産を重視しこちらは42万5000挺生産されています。

 

 ちなみに、夢の話ですが四式自動小銃を発射したもののジャムり、文句たらたらでM1ガーランドに持ち替えていました。これがイメージなんでしょうね。

2025年10月 9日 (木)

カールグスタフは一日6発しか撃てない

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 スウェーデンのサーブ社が開発した個人携帯無反動砲カールグスタフ。日米はじめ世界40カ国以上で使用されている大ベストセラー兵器です。個人携帯兵器にも関わらず84㎜の大口径。装甲貫徹力こそ均質圧延装甲換算で400㎜以上と最近の新型戦車にはやや力不足になってきていますが、多目的榴弾を撃てることから簡易な歩兵直協火砲として重宝されています。

 無反動砲は、発射した時の反動を反対側から爆風を逃がすことで相殺する火砲ですが、後方にもし兵士がいたら命の危険もある非常に危ない兵器でもあります。ですから発射の際は後方に注意しなければなりませんし、狭い室内から撃ったら爆風が自分にも及んでこれも命の危険があります。使いどころが難しい兵器ではあるのですが、何しろ便利なので無くなることはないでしょう。

 最近、YOUTUBEの軍事系動画で知ったのですが、いくら無反動砲といっても振動は人体にも及ぶそうで米軍ではカールグスタフの発射を一日6発に限定しているそうです。それ以上撃ったら人体に悪影響があり、特に脳に深刻なダメージがあるとか。ちょうどボクシングで言うパンチドランカーみたいになるのでしょう。

 我が国の陸上自衛隊の小銃分隊(7~8名)にも一人ATM手がいますが、6発以上撃たなければならない局面ではほかの人に代わってほしいですね。まあ、よほどの激戦でない限りは一日6発も撃つことはないでしょうが。せいぜい一日2~3発くらいだと思いますよ。

 最新のカールグスタフM4も、軽くなったとはいえ本体だけで6.6㎏ありますし、砲弾一発3㎏以上しますから本体と砲弾4~5発携行するだけで20㎏以上になります。これが昔なら本体で16㎏以上ありましたから、当時の兵士は大変だったでしょうね。一応、砲撃手と装填手の二人1チームで行動しますから、装填手も何発かは砲弾を持つのでしょう。

 これが無反動砲だけの話なのか、それともRPG-7のようなロケットランチャーでも同じ状況なのか非常に気になります。実際に撃った経験はありませんが、動画などを見るとロケランも兵士が発射した瞬間ずしっと重みを感じているように見えますから。

2025年9月27日 (土)

パトリアAMVと24式装輪装甲戦闘車の調達価格

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 着々と進む防衛力強化。陸上自衛隊では次期装輪装甲車にフィンランド製のパトリアAMV XPを選定しました。16式機動戦闘車をベースとした24式装輪装甲戦闘車も96式装輪装甲車の後継として正式採用を争っていたのですが、防御力、汎用性からパトリアが選ばれます。これで24式が消えるかと思いきや、IFV(歩兵戦闘車)として日本唯一の機甲師団第7師団の89式装甲戦闘車の後継や、16式機動戦闘車の随伴歩兵戦闘車として採用されました。

 とはいえ、パトリアは陸上自衛隊全体で810両調達予定なのに対し、24式は232両調達される見込みです。機甲師団の随伴には装輪式ではなく装軌式が良いのではないかと思いますが、今のところ装輪式のIFVはどうなるか分からないので何とも言えません。

 そこで両者の調達価格はどうなのか調べてみました。パトシアAMV XPの当初調達は200億円で28両、1両あたり7.14億円です。一方24式は218億円で18両なので1両あたり12.11億円と高額です。どちらも調達数が増えて行けば量産効果で価格は下がると思いますが、安くなる可能性が高いのは調達数が圧倒的なパトリアの方です。

 もちろん、陸自採用のパトリアはAPC(装甲兵員輸送車)で24式はIFVなので砲塔がない分パトリアが安いのは当然だと思いますが、それにしても10億超えは高すぎな気がします。

 90式戦車は当初10億円超えでしたが、341両調達したころには1両あたり8億円に下がっています。10式戦車に至っては最初から9.5億円です。西側標準となったドイツのレオパルド2でさえ、国内調達価格は8億円に対し輸出価格は10億円を超えるそうですから、そこまで高価格ではない印象です。

 あくまで個人的感想ですが、24式はもっと安くならなかったのかなとは思います。せめて砲塔がある分パトリアより1億円高い8億円台にできなかったのでしょうか。パトリアのほうが遥かに防御力が高いのは過去記事でも書きました。こればかりは、国際的販売実績のあるパトリアと比べるのは、ガラパゴス化した日本製兵器は酷なのでしょう。

 私の希望としては、BAEが提案したパトリアの車体にスウェーデン製CV90歩兵戦闘車の40㎜機関砲搭載砲塔を載せたIFVタイプが最強のような気もしますので、なんとか日本もパトリアのIFV化を望んでいます。何よりも私が一番信用していない軍事ライターの清谷信一氏がパトリアAMV XPの採用を酷評しているので、逆に日本にとって良かったと思います。清谷氏は軍事知識があるのは認めますが、なぜか最終結論で日本をディスる傾向がありますから。90式戦車を採用した時、74式の改良で事足りると暴論を吐いたことは一生忘れません。

2025年9月21日 (日)

ドイツ海軍 127型フリゲート

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 ドイツ海軍の現在の主力フリゲートであるバーデン・ヴュルテンベルク級は満載排水量7316トンの巨体であるにもかかわらず対空兵装は近接防空のSeaRAM2基しか持たず、VLS(垂直発射装置)も無いというはっきり言って欠陥品でした。NATOの海外任務に役立つようパトロール能力を重視するという中途半端な方針で、ロシアのウクライナ侵略で緊迫する国際情勢とは全く逆行するものでした。

 その反省から、ドイツ海軍はニーダーザクセン級(126型)という新たなフリゲートを建造中で、2028年就役予定だそうです。ところがこれも満載排水量10550トンという各国のミサイル駆逐艦に匹敵する大きさながらVLSがわずか16セルという日本でいえば5500トン級のもがみ型程度のVLSしか搭載していません。どうしてこうも軽武装なのか理解に苦しみます。

 そこで、計画されているのが本級127型フリゲートです。イージスシステム搭載でニーダーザクセン級と同規模の10000トン級。ドイツというより欧州海軍では珍しく32ノットの高速を誇ります。VLSの数は公表されていませんが、おそらく少なくとも48セル、あるいは64セルくらいは搭載できそうですし、搭載しなかったら嘘です。アーレイバーク級並みの96セルまで搭載しろとは言いませんが。ザクセン級は5690トンで32セルですからね。

 ニーダーザクセン級の主任務は対潜、127型はザクセン級以来の防空が主任務だそうです。ようやくドイツも本腰を入れてきたと思うんですが、就役予定が2030年代前半だそうですから第3次世界大戦には間に合わないかもしれません。そう考えるとメルケル政権時代の大軍縮の悪影響は今でも続いているのでしょうね。どなたかがメルケルはロシアの工作員だったと仰っていましたが、今のドイツ軍の惨状を考えると納得できるのが怖いです。

 ドイツも日本とは別の意味で平和ボケ期間がメルケル時代に続いていたんですが、その前まではNATOの最前線として強力な軍備を誇っていたんですから、ようやく元に戻りつつあるのでしょう。ただ、遅きに失した感はありますね。英仏の方がよほど軍備に関してはまともでした。

 イタリアの方がまだ真剣に軍備を整えていますし、NATO拡大で対ロシア最前線になったポーランドの方がよほど真面目に軍拡しています。ドイツは次期戦闘機でグダグダしていましたが、早くにF-35を採用したポーランドのほうがまともです。イタリアもF-35を持っていますし、ドイツ空軍は2022年にようやくF-35導入を決断しました。ユーロファイタータイフーンが138機あるので防空に穴が開くことは無いと思いますが、ドイツのF-35導入予定は35機。2019年にF-35導入を決めたポーランドではすでにF-35の配備が始まっていますよ。ポーランドが32機導入予定なのに経済規模が大きいドイツが35機はちょっと情けない。イタリアは予算が厳しくて削減されましたが、それでも90機導入予定ですよ。議会が反対しているので元々の131機に戻るかもしれません。日本と違ってまともな野党があるイタリアは羨ましいですね。

 まあ、ともかくドイツ海軍も早く正常化してほしいですし空軍ももっと強化しなければロシア、シナといった悪の枢軸に対抗できませんよ。もちろん日本も他人事ではなく早急に強力な軍備を整えてならず者国家の侵略に備えなければなりません。

2025年9月19日 (金)

日本初の弾道ミサイルにH-ⅡAロケットは適当か?

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 緊迫する極東情勢、綺麗ごとでは済まない状況になっています。専守防衛は現代戦では通用せず必然的に本土決戦になって国民に多数の犠牲者が出ることになります。ですから、最近では平和ボケ日本でも現実に目覚め反撃能力確保を目指しトマホーク巡航ミサイルを導入し始めました。

 ただ、これはあくまで一撃は敵の攻撃を受けてようやく反撃できる態勢なのでどうしても国民に被害は出てしまいます。もし敵の第一撃が核ミサイルだったら反撃するどころかその瞬間日本は壊滅することになるのです。この厳しい現実を考えたら、敵から核攻撃を受けないためにはこちらも核武装して撃ち込んだらこちらも撃ち返すぞという覚悟を示さなければなりません。それが抑止力です。

 ですから真剣に核武装を論議する時代に入っています。それが理解できない連中は特亜のスパイかただの馬鹿だということです。そこで素人ながら私はH-ⅡAロケットが弾道ミサイルに使えるのではないかと思ったんです。ペイロード(搭載量)最大10トン、射程はおそらく1万キロを軽く超えるでしょう。

 日本の潜在的敵対国で一番遠いのはロシア。ロシアの首都モスクワまで東京から直線距離で約7500㎞。意外と近いですね。1万キロくらいあるのかと思っていました。ペイロード10トンなら通常弾頭でもかなりの破壊力を発揮します。1トン爆弾で直径15m、深さ11mの巨大なクレーターを作れます。単純計算だとその10倍ですが、爆弾の威力はその質量に比例し等比級数的に増大しますからどれくらいの被害を及ぼすか想像できません。日本は核廃棄物爆弾ならすぐ造れるそうですから、簡易核弾道ミサイルの完成です。原子爆弾も半年くらいで造れると言われますね。核弾頭でなくともサーモバリック弾頭でも良いでしょう。

 良いことづくめだと思っていたんですが。H-ⅡAロケットを弾道ミサイルに転用するのは現実的ではないそうです。H-ⅡAロケットは液体燃料なので発射できる状況まで数日かかります。しかもロケット1発の費用が100億円。費用対効果を考えるともったいない気がします。アメリカのミニットマンミサイルは固体燃料ですぐ発射でき発射費用も7億円程度ですから、H-ⅡAはあまりにも高価すぎます。

 調べてみると、新型のイプシロンロケットの方が弾道ミサイルに転用しやすいみたいです。固体燃料ですし、ペイロードは1.5トンですが、これくらいなら核弾道を乗せられます。米軍の弾道ミサイルピースキーパーとほぼ同じサイズですから、射程距離1万キロ、CEP(半数必中界、平均誤差半径ともいう)90mくらいになりそう。

 それでもイプシロンロケットの打ち上げ費用はH-ⅡAよりは安くなったと言っても30億円かかります。量産すれば費用は安くなると思いますが、核武装するとしても時間は相当かかりそうですね。防衛力装備には長期計画が必要ということでしょう。

 

 

2025年9月17日 (水)

23式艦対空誘導弾(A-SAM)とNSAM(A-SAM改)の展望

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「採用すれど購入せず」護衛艦と国産対空ミサイル


 2023年5月とちょっと古い記事なんですが、ちょうどA-SAMについて調べている時に見つけたので読んでみました。

 筆者の文谷数重氏は清谷信一氏と同様、私の評価が低い軍事ライターではあるんですが、清谷氏の記事が99%信用できないのに対し文谷氏は20%くらいはまともなことも書いているので完全に無視はできません。この記事も、違和感はありながらも私の考えにも近いのでご紹介します。

 仮称A-SAMとして開発が続けられていた海上自衛隊の新型艦対空ミサイルは正式に23式艦対空誘導弾として採用されました。2025年度概算要求で記載されているのでまさに今年から取得が始まりそうです。23式は、03式中距離地対空誘導弾をベースに開発され射程は60㎞から100㎞ほど。もがみ型FFMの後継である新型FFMに搭載予定です。最初はもがみ型のVLS(垂直発射装置)にも搭載するのではないか?と言われていましたが、現状もがみ型のVLSは07式SUM(垂直発射式魚雷投射ロケット)のみで23式搭載の予定はありません。

 文谷氏によると、23式は現代海戦の主体である超低空迎撃に最適化されていないそうです。23式の最低迎撃高度は30mと言われ、ESSMブロック2やSM-6のように5m以下の迎撃能力に力を注いでいないそうです。ここらあたりは軍事機密なのでもしかしたら23式が超低空迎撃能力を付与されている可能性も捨てきれませんが、敵の対艦ミサイルは海面すれすれに飛んでくるので、もし30m以下の迎撃が得意でないなら護衛艦は致命傷になりかねません。

 あくまで文谷氏の分析が正しいとすると、アクティブレーダーホーミング能力を付与されたESSM(発展型シースパロー)ブロック2に大きく後れを取ることになります。しかもESSMはVLSの1セルに4発積めるので1セル1発の23式は厳しくなります。もちろん射程距離最大100㎞は魅力ですが、艦隊防空にはイージスシステム搭載ミサイル護衛艦のSM-6(射程370㎞)があるため中途半端になります。23式は個艦防空、僚艦防空には優れていても艦隊防空に使うには心もとないというのが正直な感想です。

 となると即応性、同時発射能力に優れたESSMブロック2の方が、射程50㎞に目を瞑ればメリットが大きくなります。実際新型FFMを採用したオーストラリアでも艦対空ミサイルにはESSMブロック2を搭載する予定だと聞きます。今後開発されるであろう23式の改良型NSAM(A-SAM改)に期待するしかありませんが、果たして海上自衛隊はどういう運用を考えているのか非常に気になります。

2025年9月15日 (月)

ついに日本もESSMブロック2導入!

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「艦艇防衛用の新型ミサイル」日本での生産実現!“撃ちっぱなし型”で艦員の負担も軽く 三菱電機がRTXと契約

 ESSMというのは日本では発展型シースパローと呼ばれる西側標準装備の艦対空ミサイルです。最大射程50㎞のセミアクティブ・レーダーホーミングミサイルで、Mk.41VLS(垂直発射装置)の1セルにつき4発積めるので日本の護衛艦でも使用されています。設計はアメリカのジェネラル・ダイナミックス社で製造がレイセオン。

 もとになった空対空ミサイルAIM-7スパローは、1950年代に登場した当時では画期的ミサイルで赤外線誘導のサイドワインダーミサイルと共に一時代を築きました。ベトナム戦争当時は命中率に難がありましたが改良を重ね1990年の湾岸戦争時の信頼性は非常に高くなったと言われます。

 このミサイルの弱点は、敵に命中する最後までレーダーを照射し続けなければならないので発射した後に回避行動が取りにくいことがあげられます。ですので空対空ミサイルとしては、ミサイル自体がシーカーを持ち自らレーダー照射し敵を追尾できるようになったアクティブレーダーホーミングのAIM-120AMRAAMに取って代わられます。日本でもアムラームと同じアクティブレーダーホーミングのAAM-4(99式空対空誘導弾)が登場してスパローは旧式化しました。

 とは言え航空自衛隊はまだかなりの数のスパロー(数千発単位)を保有しているので、どう処理するか気になります。実弾なので訓練で消費するわけにはいきませんからね。ウクライナが必要とするなら全部供与しても良いくらい。ウクライナとしたらアムラームの方が有り難いでしょうけど。

 シースパローとその発展型のESSMが残ったのは、その信頼性の高さとそもそも艦船は飛行機と違い速度が遅く敵ミサイルを回避できないからです。回避できないなら撃ち落とすしかないのです。艦船のレーダーは航空機用レーダーと違い索敵範囲が広く、最新のフェーズドアレイレーダーなら同時捕捉、同時発射できるので問題はありませんでした。
 
 初期のイージスシステム搭載艦であるタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦で目標同時追尾128、同時対処16、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦で同時追尾128、同時対処12でした。その後イージスシステム自体も改良が進み、最新型では同時追尾200、同時対処能力も20目標以上に性能向上しています。

 ただ、同時対処といってもレーダー照射を細切れにしてそれぞれを追尾できます。同時対処20といっても、命中したらすぐ次のミサイル誘導に切り替えられるので敵が20発以上のミサイルで飽和攻撃しようとしても成功はしにくいと言われますね。

 そんなESSMですが、アムラームのようにアクティブレーダーホーミングにしたらさらに同時対処能力が向上するのは素人でも分かります。そんな夢のような能力がESSMブロック2でついに実現しました。アメリカだけが独占するのかなと思っていたんですが、今回三菱電機がライセンス生産の契約を勝ち取りました。ということで日本でも今後ESSMブロック2が使えるようになります。和製イージスのあきづき型や、汎用護衛艦各種でもESSMブロック2を搭載すれば個艦防空能力が飛躍的に向上します。

 日本の防衛力強化は大歓迎です。あまりの嬉しさに記事にしました♪

2025年8月23日 (土)

パトリアAMVの防御力

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 96式装輪装甲車の後継として日本の陸上自衛隊でも調達が始まったフィンランド製パトリアAMV XP装甲車。装甲車と言いながらベースはAPC(装甲兵員輸送車)で、上部に40㎜機関砲の砲塔を乗せたIFV(歩兵戦闘車)、120㎜重迫撃砲搭載の火力支援車などさまざまなバリエーションがあります。一応機動砲もあるんですが、搭載砲が分かりませんでした。おそらく西側標準の105㎜ライフル砲だとは思いますが。

 パトリアAMVは、装輪装甲車にも関わらず防御力に定評があり日本はじめ各国で採用されています。その能力がどれくらいかですが、NATO規格の防弾性でレベル5だと言われます。STANAG4569と言われる規格ですが、レベル5は最高レベルに当たります。500m離れた距離から発射された25㎜機関砲の初速1258m/sのAPDS-T徹甲弾の直撃を防ぐことができる防弾能力、あるいは25m離れた距離で炸裂した155㎜榴弾砲の爆発に耐える耐爆能力です。

 25㎜機関砲なら大したことないと思われるでしょうが、湾岸戦争時米軍のM2ブラッドレー歩兵戦闘車は25㎜機関砲でイラク軍T-72戦車の側面装甲を貫徹しています。米軍の場合、APFSDSの弾芯に劣化ウランを使用しているので通常のタングステン弾芯より威力が高かった可能性はありますが。25㎜機関砲のAPDSも弾芯は劣化ウランだったはず。防御力でもアフガニスタンに派遣されたポーランド陸軍のパトリアAMV(ポーランドではKTOロソマクと呼称)は、タリバンのRPG(個人携帯対戦車ロケット)の直撃に耐え地雷にも驚異的な防御力を発揮し、タリバンから緑の戦車と恐れられたそうです。

 日本はAMVの改良型XPを採用し810両調達する予定だそうですから心強いですね。しかもパトリアはモジュラー式の増加装甲を付けられますからさらに頼もしい。増加装甲はおそらく複合装甲で日本は得意の拘束式セラミックの複合装甲を付けられるはずです。ここらあたりは専門知識がないのであくまで想像ですが。パトリアとどういう契約になっているか次第です。

 ただBAEがオーストラリア陸軍にパトリアの車体にスウェーデンボフォース社の40㎜機関砲搭載CV9035の砲塔を乗せたIFVタイプを提案しているくらいですから、日本独自の改造もできなくもないかなと思います。

 想像ついでに言うと、パトリアの車体に16式機動戦闘車の105㎜砲塔を乗せた機動砲タイプも開発してほしいくらいですよ。均質圧延装甲の16式よりは強靭だと思うんですよね。もっとも16式も同クラスの装輪戦闘車よりは防御力が高いとは言われていますが。

 増加装甲付きのパトリアの車体に16式の105㎜砲塔を乗せたら最高の機動戦闘車ができると想像すると楽しくなってきますね♪これイギリスの軍需産業BAEを使って世界中に売り込みできるんじゃないですか?パトリアも儲けて三菱重工も儲けてウィンウィンです。まあ実際は夢物語に終わりそうですけど。

2025年8月21日 (木)

たいげい型はなぜ出力が下がったのか?

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 海上自衛隊の最新鋭潜水艦であるたいげい型。前型そうりゅう型は非大気依存推進(AIP)であるスターリング機関と従来の鉛蓄電池を組み合わせた優れた潜水艦でした。一方、そうりゅう型11番艦、12番艦で採用されたリチウムイオン電池を本格搭載して誕生したたいげい型は、なぜかそうりゅう型の8000PSから6000PSに出力が落ちています。

 一応最大速度は20ノットで同じですが、素人考えでは出力は大きければ大きいほど良いと思ってしまいます。ただ原子力潜水艦並みに30ノット近くになると通常動力型潜水艦の生命線である静粛性がなくなりますので、世界の標準通常動力型潜水艦は20ノットに最大速度を抑えています。

 原子力潜水艦は30ノットの速力を誇り核燃料が続く限り永遠に潜っていられますが、静粛性という点では大きく劣るのです。ですから米海軍は原子力潜水艦に対する一番の脅威が通常動力型潜水艦だと言っています。

 話を本題に戻すとどうして最大出力が落ちたのか長年の疑問だったんですが、最近読んだ記事で氷解しました。というのもリチウムイオン電池の充電には鉛蓄電池より多くの電流が必要になり、出力電流をあげるにはモーターと接続しているエンジンをできるだけ高速回転させる必要があるそうです。

 つまり航行速力に影響するエンジン出力は低い回転数が必要であり、リチウムイオン電池を効率的に充電するには高い回転数が必要で、両者は相反する特性があります。エンジン出力と効率的充電性のバランスを取った結果が6000PSなのでしょう。ただ3番艦までの川崎12V25/25SVディーゼル機関に対し、4番艦以降は新型の川崎V25/31ディーゼル機関を採用しエンジン出力が上がったそうですから問題は無いのかもしれません。

 ちなみに最大潜航期間はそうりゅう型の14日に対したいげい型では30日に上がったそうですから、潜水艦本来の任務である通常哨戒任務、戦闘哨戒任務の遂行能力は大幅に上がったのでしょう。原子力潜水艦は理論上いくらでも潜っていられますが、乗組員のストレスがあるため一か月以上の潜航は難しいと言われます。時々は浮上して海上の酸素を吸わないと精神的にもたないのでしょう。

 その意味でたいげい型は原子力潜水艦並みの能力を持ったとも言えますね。

より以前の記事一覧